白内障手術後に見えにくい…原因は「後発白内障」かもしれません
白内障手術したのに見えにくくなった。後発白内障とは
白内障手術を受けて「視界が明るくなった」「よく見えるようになった」と実感された方の多くが、その後の生活の中で満足されています。しかし、手術からしばらく経って「また少し見えにくくなってきた」「かすんで見える」「まぶしさを感じるようになった」といった症状が出ることがあります。
このような場合、「後発白内障(こうはつはくないしょう)」という状態が考えられます。今回は、この後発白内障とはどのような病気なのか、なぜ起こるのか、そしてどのように治療するのかを、わかりやすく解説します。
白内障とは?
まずは白内障そのものについて簡単に振り返ってみましょう。私たちの目の中には、「水晶体」と呼ばれる透明なレンズがあります。水晶体は、カメラでいうレンズのような役割を担い、ピントを合わせて物を見る働きをしています。
しかし、この水晶体は加齢や紫外線、糖尿病、ステロイド薬の使用などによって徐々に濁っていきます。これが「白内障」です。
白内障が進行すると、次のような症状が現れます。
- ・かすんで見える
- ・まぶしく感じる
- ・視力が低下する
白内障の唯一の根本的な治療は手術です。手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに「眼内レンズ(人工レンズ)」を挿入します。これにより、多くの方は手術直後から「世界が明るくなった」と感じるほど、視界がクリアになります。
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⇒白内障
白内障手術後に起こる「後発白内障」とは?
白内障手術で取り除かれるのは、水晶体の濁った「中身の部分」です。しかし、手術では水晶体を包んでいる「水晶体嚢(すいしょうたいのう)」という薄い膜のうち、後ろ側の部分(後嚢)は残します。この後嚢を残しておくのは、眼内レンズを固定するために必要だからです。
ところが、手術から数か月〜数年が経つと、この残した後嚢の裏面に濁りが生じることがあります。これが「後発白内障」です。
後発白内障とは、手術そのものの失敗や再発ではなく、白内障手術後の自然な経過で起こり得る合併症なのです。
後発白内障の症状
後発白内障が起こると、次のような症状がみられます。
- ・以前よりも視界がかすむ
- ・光がにじんで見える
- ・明るい場所でまぶしい
- ・視力が落ちた気がする
- ・文字が読みづらい
これらの症状は、白内障が再び進行したかのように感じるため、「また白内障が戻ったのでは?」と思われる方も少なくありません。しかし実際には、眼内レンズ自体が濁るのではなく、その後ろにある膜が曇っている状態です。
なぜ後発白内障が起こるのか?
後発白内障の主な原因は、水晶体嚢の中に残った水晶体上皮細胞が時間とともに増殖してしまうことです。この細胞が膜の裏側に集まって白く濁ることで、光の通り道が妨げられ、視界がぼやけます。
若い方ほど細胞の活動が活発なため、比較的若い年代で白内障手術を受けた方ほど後発白内障が起こりやすい傾向があります。また、糖尿病やぶどう膜炎などの疾患をお持ちの方でも、発症率がやや高いとされています。
後発白内障の発症時期
後発白内障は手術直後には起こりません。一般的には手術後6か月〜数年の間に少しずつ発生します。発症までのスピードには個人差がありますが、白内障手術を受けた人の約20〜30%が、数年以内に後発白内障を経験するといわれています。
後発白内障の検査
後発白内障の診断は、通常の視力検査と細隙灯顕微鏡(スリットランプ)による診察で行われます。医師が瞳の奥を観察すると、後嚢が白く曇っている様子が確認できます。
場合によっては眼底検査や眼内レンズの位置確認も行い、他の原因(網膜疾患やドライアイなど)がないかを慎重に確認します。
後発白内障の治療法 ― YAGレーザー後嚢切開術
後発白内障の治療は、「YAGレーザー後嚢切開術」というレーザー治療で行います。この治療では、濁った後嚢の中央部分にレーザー光を照射して、小さな穴を開けます。その穴から光が再び通るようになり、手術直後のようなクリアな視界を取り戻すことができます。
手術時間と痛み
治療は数分程度で終了し、麻酔は点眼のみ。痛みはほとんどありません。切開はレーザー光で行うため、目を切ることもなく、出血もありません。
治療当日の流れ
- 瞳を広げる点眼を行い、しばらく待つ
- ↓
- レーザー装置を用いて濁りを除去
- ↓
- 治療後は眼圧が上がる可能性があるので、眼圧が上がるのを抑える点眼をし、問題なければ帰宅可能
当院では、当日治療が可能です。診察のうえ後発白内障と診断された場合、そのままレーザー治療を受けていただけます。
治療後の注意点
レーザー治療後は一時的にまぶしさや飛蚊症(黒い点が飛んで見える)が出ることがありますが、多くは数日で落ち着きます。視力の回復は早く、翌日にはすっきり見えるようになったと実感される方がほとんどです。
ただし、治療後しばらくは眼圧が上がる可能性があるため、数日間は点眼薬を使用し、再診で目の状態を確認します。
再発はあるの?
YAGレーザーで後嚢を切開すると、基本的に再発することはありません。一度レーザーで開けた部分は再び濁らないため、治療後は長期的にクリアな視界を維持できます。
後発白内障と間違えやすい病気
「見えにくくなった=後発白内障」と思いがちですが、他にも似た症状を起こす病気があります。
- ・ドライアイ
- ・硝子体混濁(にごり)
- ・網膜疾患(黄斑変性症・糖尿病網膜症など)
- ・眼内レンズの位置ずれ
そのため、まずは必ず眼科で検査を受け、原因を正確に見極めることが大切です。
千川あおぞらクリニック眼科での対応について
当院では、白内障手術後の定期検診の中で、後発白内障の有無を丁寧に確認しています。また、見え方に違和感を感じた患者様には、その日のうちにレーザー治療が可能です。
「最近かすんできた」「白っぽく見える」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。千川あおぞらクリニック眼科では経験豊富な眼科専門医が、視力や眼底の状態をしっかりチェックし、最適な治療を提案いたします。
まとめ
- ・白内障手術後に視界が再びかすむのは、「後発白内障」が原因のことが多い
- ・後発白内障は、水晶体の膜が濁ることで光が通りにくくなる状態
- ・YAGレーザー治療で簡単に改善でき、当日治療も可能
- ・再発はほとんどなく、治療後すぐに視界がクリアに戻る
白内障手術を受けた後も、定期的に眼科を受診し、見え方の変化を早めにチェックすることが大切です。なお、後発白内障の治療で行うYAGレーザー後嚢切開術は、痛みやダウンタイムがほとんどなく、日帰りで短時間に完了します。当院では最新のレーザー機器を使用しており、安全で精密な治療を行うことが可能です。視力の低下や見えにくさを感じた際は、我慢せずに一度ご相談ください。
「手術したのにまた見えにくくなった」と感じたら、放置せず、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。
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