目を動かすと頭痛がするのはなぜ?考えられる原因と受診の目安
「目を動かすと頭痛がする」「眼球を動かすと目の奥が痛い」──こうした症状は、単なる目の疲れから神経や副鼻腔の病気まで幅広い原因が考えられます。軽い場合は自然に治ることもありますが、視力低下や強い痛みを伴う場合には重大な疾患のサインである可能性があります。
この記事では、目を動かすと頭痛が起こる原因、危険なサイン、眼科で行う検査や治療、そして千川あおぞらクリニック眼科での診療体制について詳しく解説します。
目次
目を動かすと頭痛がする症状とは?
「眼球を左右や上下に動かすと痛む」「視線を動かした瞬間にこめかみや目の奥がズキズキする」と訴える方は少なくありません。片方の目だけで感じることもあれば、両目で起こることもあります。
症状の性質もさまざまで、以下のように分かれます。
- ズキズキする拍動性の痛み → 片頭痛の可能性
- 重い圧迫感 → 副鼻腔炎や眼精疲労の可能性
- 目の奥が鋭く痛む → 視神経炎の可能性
- 物が二重に見えると同時に痛む → 神経や外眼筋の異常の可能性
軽度なら眼精疲労で済む場合もありますが、強い頭痛や視力異常を伴うときは注意が必要です。
考えられる原因
目を動かすと頭痛がする原因にはさまざまなものがあります。ここでは代表的な疾患について詳しく解説します。
🔹 眼精疲労・ドライアイ
眼精疲労とは、目の使いすぎによって目の痛み・かすみ・頭痛・肩こりなどの全身症状が出る状態を指します。単なる一時的な疲れ目と異なり、休んでも改善せず慢性的に症状が続くのが特徴です。
近年はパソコンやスマートフォンを長時間使用することで起こるVDT症候群(テクノストレス眼症)が増えており、画面を凝視し続けることでまばたきが減り、ドライアイを悪化させます。その結果、目の表面が乾燥してピント調節筋にも負担がかかり、目を動かした際に頭痛や眼の奥の違和感が出やすくなります。
また、メガネやコンタクトレンズの度数が合っていないことも眼精疲労の原因となります。乱視や老眼を放置すると常にピント合わせを強いられ、眼球を動かすたびに痛みや頭重感を感じることがあります。
治療としては、人工涙液の点眼、適切な眼鏡処方、作業環境の改善などが有効です。特にモニターの位置は目の高さよりやや下に設定し、1時間ごとに休憩を取って遠くを見る習慣をつけることが勧められます。ホットアイマスクで血流を改善するのも効果的です。
🔹 副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎では、鼻の奥に膿が溜まり炎症が広がることで、目の奥や額に響くような痛みが出ます。特に下を向いたときや眼球を動かしたときに痛みが強くなります。慢性副鼻腔炎では鈍い圧迫感、急性副鼻腔炎ではズキズキする痛みが特徴です。
🔹 視神経炎
視神経炎は、網膜から脳へと情報を伝える「視神経」に炎症が起こる病気です。特徴的なのは眼球を動かしたときの強い痛みで、じっとしているときは違和感程度でも、上下左右に動かしたときに鋭い痛みが走ることがあります。
もう一つの大きな症状は視力低下です。数日から1週間ほどで急に視力が落ちたり、色の見え方がにぶくなる「色覚異常」が現れることがあります。特に赤色が黒っぽく見えるようになるのが典型的です。
原因はさまざまで、多発性硬化症などの自己免疫疾患に伴って発症することもあれば、ウイルス感染後や特発性に起こることもあります。比較的若い女性に多い傾向があり、発熱や倦怠感を伴うこともあります。
診断には眼底検査・OCT検査・視野検査が用いられ、必要に応じてMRI検査で視神経や脳の状態を確認します。治療はステロイドの点滴療法が中心で、炎症を早期に抑えることが重要です。早期に治療を開始すれば視力は回復することが多いですが、治療が遅れると視力障害が残ることもあるため注意が必要です。
「目を動かすと強く痛む」「急に片目が見えにくくなった」といった症状がある場合は、放置せず早急に眼科を受診してください。
🔹 外眼筋や神経の異常
目を動かす筋肉を支配する動眼神経・滑車神経・外転神経に異常があると、目を動かすときに頭痛や眼の奥の痛みを感じます。物が二重に見える「複視」を伴うことが多く、糖尿病や高血圧に関連する神経障害でも起こります。
🔹 片頭痛や群発頭痛
片頭痛では「閃輝暗点」と呼ばれる視覚の異常が前兆として現れ、その後に拍動性の頭痛が始まります。群発頭痛は一定期間に片側の目の奥に強烈な痛みが集中する病気で、涙や鼻水を伴うのが特徴です。いずれも眼球運動で痛みが悪化することがあります。
危険なサイン(すぐ受診すべき症状)
以下のような症状がある場合は、自己判断せずに眼科または専門医を早急に受診してください。
- 視力の急激な低下
- 目の奥に強烈な痛みがある
- 発熱や全身の倦怠感を伴う
- 物が二重に見える
- 頭痛薬を飲んでも改善しない
- 視野が欠ける、霞むなどの異常がある
これらは視神経炎、神経障害、脳疾患などの重篤な病気が背景にある可能性があり、放置は危険です。
眼科で行う検査
眼科では以下のような検査を行い、原因を特定します。
- 視力検査: 視力低下や色覚異常の有無を確認します。
- 眼底検査: 視神経の腫れや萎縮、網膜の異常を調べます。
- OCT(光干渉断層計): 視神経や網膜の断層画像を取得し、微細な異常を解析できます。
- 眼球運動検査: 外眼筋や神経の働きを評価し、複視の有無を確認します。
- (必要に応じてMRI・CT: 視神経炎や脳腫瘍などの可能性を除外するために神経内科と連携します。)
散瞳検査を行った場合は数時間視界がぼやけるため、車の運転は避けましょう。
治療・対応方法
治療は原因によって異なります。
- 眼精疲労・ドライアイ: 人工涙液の点眼、ホットアイマスク、眼鏡の度数調整、作業環境の改善
- 副鼻腔炎: 耳鼻科での抗菌薬、ステロイド点鼻薬、場合によっては手術
- 視神経炎: ステロイドの点滴治療を行い、炎症を早期に抑えることが重要
- 神経や筋肉の異常: 血管障害や糖尿病性神経障害の場合は全身管理が必要
- 片頭痛・群発頭痛: 神経内科での内服薬や点鼻薬、注射による治療
原因が多岐にわたるため、自己判断で市販薬に頼らず専門医に相談することが大切です。
日常生活でできる対策
- PCやスマホは1時間ごとに休憩を取り、遠くを見る習慣をつけましょう。
- モニターは目の高さよりやや下に設定すると負担が軽減します。
- 適度な湿度を保ち、乾燥によるドライアイを防ぎましょう。
- 十分な睡眠と規則正しい生活習慣が頭痛予防につながります。
当院での診療体制
千川あおぞらクリニック眼科では、以下のような診療体制を整えています。
- 眼精疲労やドライアイの精密検査
- 視神経や網膜の評価に有効なOCT検査・眼底検査
- 眼球運動や複視のチェック
- 必要に応じて神経内科や耳鼻科と連携
「目を動かすと頭痛がする」という症状は軽視されがちですが、視神経炎や神経疾患の初期症状であることもあります。当院では早期発見と適切な治療につなげるための体制を整えています。
まとめ
目を動かすと頭痛がする原因は、眼精疲労やドライアイといった軽度のものから、副鼻腔炎、視神経炎、神経疾患、片頭痛まで多岐にわたります。多くは生活習慣改善で改善しますが、視力低下や強い痛みを伴う場合は放置せず早急に眼科を受診してください。
千川あおぞらクリニック眼科では、精密検査から治療、他科との連携まで対応可能です。気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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